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コラム
 
紅
 



ある時、小学生の女の子が
「先生はいつもほめるけどさ、
本当にこれ(私の字)いいの?」

と言いました。
わずか十年足らずの人生で、この子は何を体験したのかと驚きましたが、
ふと、その子の経験の方が世間では
実はよくあることなのかもしれないなと思いました。

 

ある時、同級生から
「あなたはありがとうと言ったりごめんと言ったりするのが
苦手なダメな人間だ、嫌いだ」
と強く非難されたことがあります。
先輩方と私がもめており、そのせいで同級生の彼女まで
悪く思われるのだから謝れ、どうして謝らないのだ。
と言うのです。
しかし、実際のところは先輩方とお互い真剣に話し合っていたのが、
詳しく内容を知らない人には単なる喧嘩に見えてしまったようなのです。
先輩方はその時もその後もずっと親しくお付き合いくださっています。

しかし、別の意味では彼女の言葉は事実だと気がつきました。
私は彼女たちのようにあいさつのようにありがとうと言ったり、
とりあえずごめんと言ったりすることが全くできませんでしたから。
とりあえずその場ではにこにこしながら
陰で悪口を言う少女たちの姿に触れる度、
おなかの中にどす黒いものがズシンと感じられ、
どうしてよいかわからずにいました。
随分人生経験が増えた今でもやっぱり会いたくもないのに
「また会おう」とか、社交辞令が言えません。
要するに思ってもないことを言うのがとても苦手なのです。
だから私がほめる時、まぎれもなくそれは本物です。
小さいことでもよいと思ったら本気で言っています。
私にほめられることがあったらどうぞ素直に聞いて喜んでください。

さて、先ほどの小学生の質問には、
私はもう一つのことを考えさせられました。
私が書を続けて、
長くやっていればこそ仕事にまでしてしまった最大の原因は何か。
先生が「上手い」と言えば「そうなんだ」と思えた
おめでたい子供だったからではないかと。
それに尽きる気がしました。
だって子供の頃、先生の言葉を疑うなんて考えたこともありませんでしたから。
確かにその後たくさんの子供たちを教えた中に、
当時の私などは及びもつかない才能ある子供たちと何人も出会いました。
そこに自分を並べてみたら、なんと恥ずかしい!
と思わずにいられません。
当時だって私の周りに上手な子はたくさんいたのですから。
でもです。他の子と比べて卑屈になるのではなく、
先生を信じ切っていたからこそ、
何百人もいた師匠の生徒の中で唯一人プロになれたのです。
先生が私を笑い物にするはずはありません。
私のいい所を本当に何かみつけて言ってくれていたに違いないのです。
今ははっきりわかります。
素直にほめられること
これも一つの才能なのだ
、と。

 

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